天使の卵

タイトルの天使の卵というのは、1994年に出版された村山由佳さんの小説の名前です。

これは、学級文庫に置いてあったのをたまたま手に取った、私が初めて読んだ活字本でした。

 

その後、1996年に天使の梯子という続編が出ます。

これは、

 

この作家の、この小説の、何が良いのかというと、透明感という印象が今でも頭に残っています。

 

 

 

宮沢賢治の告別という詩に、出会いました。

 

 

おそらくおまへは辛く険しい道を歩くであろう

 

その後でおまへの今の力が鈍り

綺麗な音の正しい調子とその明るさを失って

ふたたび回復できないならば

 

俺はおまへをもう見ない

 

 

 

 

 

なぜなら俺は

少しくらいの仕事ができて

そいつに腰をかけてるような

そんな多数を一番嫌に思うのだ

 

 

もしもおまへが

 

よく聞いてくれ

 

 

ひとりの優しい娘を思うようになるとき

おまへに無数の影と光の像があらわれる

 

 

おまへはそれを音にするのだ

 

 

みんなが町で暮らしたり

一日遊んでいる時に

 

おまへはひとりであの石原の草を刈る

 

 

その寂しさでおまへは音をつくるのだ

 

 

多くの侮辱や窮乏の

 

それらを噛んで歌うのだ

 

 

もしも楽器がなかったら

 

 

 

 

 

いいかおまへはおれの弟子なのだ

 

それいっぱいの

 

光でできたパイプオルガンを弾くがいい

 

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詩というものは、なかなか背景が描かれていないと、それだけでの解釈は困難である場合も多い。

 

これは、